- 2025/06/05 掲載
【市場調査】バックアップも標的に…ランサムウェア感染企業の70%が完全復旧できず
攻撃対象が情報通信や建設・不動産にシフト
独立系ITコンサルティング会社のITRは6月4日、企業システムにおけるサイバー攻撃の被害実態をまとめた「企業のサイバーリカバリ実態調査」の結果を発表した。調査は2025年3月、国内企業の情報システム・セキュリティ責任者315人を対象に実施された。同調査によると、2024年以降にランサムウェアの被害を受けた企業は全体の19%で、約5社に1社が感染を経験した。業種別では「情報通信」が28%と最も多く、次いで「建設・不動産」(24%)、「サービス業」(23%)となった。一方で、2023年以前に感染が多かった「卸売・小売」「プロセス製造」は大きく減少しており、攻撃対象が情報通信、建設・不動産、サービス業にシフトしている実態が浮き彫りになった。
完全復旧は3割のみ、バックアップ侵害が深刻化
ランサムウェアの感染経験のある企業のうち、2024年以降にシステムを「完全復旧できた」と回答したのは30%。一方、「ほとんど復旧できなかった」は28%で、2023年以前(13%)の2倍以上に増加した。完全復旧できなかった企業は体の70%に上っている。背景として、バックアップデータの暗号化被害が増えている点が指摘される。2024年以降では47%の企業がバックアップデータにも被害を受けており、従来の手法では対処が困難になっている。イミュータブルバックアップやエアギャップバックアップなど、攻撃耐性の高い手法の導入が急務とされる。
復旧に1週間以上かかる企業が7割、初動対応に課題
復旧までに要した時間を見ると、2024年以降は70%の企業が「1週間以上」と回答。1カ月超を要した企業も12%に上り、感染後の対応の遅れが深刻化している。課題として最も多く挙がったのは「被害の範囲や影響の把握に時間を要した」で、復旧に1週間以上かかった企業の60%が該当した。「どのバックアップが安全か不明だった」「専門スキル人材の不足」なども復旧遅延の一因とされている。
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