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  • 2024/08/21 掲載

スタートアップエコシステム「国」ランキング、断トツ米国と「残念すぎる」日本の現実

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日本でも国を挙げたスタートアップ支援に取り組んでいるが実態はどうなのか。最新の調査「Global Startup Ecosystem Index」によると、2024年のスタートアップエコシステムランキングでは、米国がダントツで、その強さが再確認される結果となった。特に今年のランキングでは、AIの影響が大きく反映されており、多数のトップAI企業を擁するサンフランシスコは圧倒的な強さをみせた。このランキングにおける日本の評価はどうだったのか。さらに、こうした調査では米国とばかり比較しがちだが、同ランキングで2位以降のイギリスやイスラエルらの強みとは何なのか。
執筆:細谷 元

細谷 元

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
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2024年のスタートアップエコシステムの国別ランキングの結果

スタートアップエコシステムには逆風が続く

 スタートアップエコシステムに関するランキングは多数存在するが、その中でも最も包括的なランキングの1つと言えるのが、StartupBlinkの「Global Startup Ecosystem Index」だろう。

 100カ国・1000都市におけるスタートアップエコシステムをさまざまな観点から評価・ランク付けしたもので、2017年から毎年更新されている。インデックスは、数十万に上るデータポイントと数十のパラメータを有するアルゴリズムによって計算されている。

 同レポートによると、2024年のグローバルスタートアップエコシステムは依然として厳しい状況にある。2024年第1四半期のグローバルスタートアップ資金調達は、2018年初頭以来2番目に低い水準を記録。これは2021年のスタートアップバリュエーションバブルの調整が現在も続いていることを示している。

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スタートアップ企業の資金調達には逆風が吹いている

 インフレはある程度抑制されているものの、依然として高水準にあり、金利も高止まっている。この状況下、スタートアップへの資金供給は継続的に減少しており、いわゆる「資金調達の冬」は終わる気配を見せていない。このため、スタートアップは成長よりも収益性を重視せざるを得なくなっており、資金調達が困難になる中、多くの起業家がブートストラップ(自己資金)での起業を選択しているという。

 一方で、AIスタートアップへの投資は好調を維持している。AIスタートアップは2023年に約500億ドルの資金を調達し、分野別では資金調達額トップとなった。2024年第1四半期も、AIへの資金調達は前期比4%増加、5四半期連続で100億ドルを超えた。

圧倒的な米国、2位以下は?

 こうした状況下、スタートアップエコシステムの国別ランキングは以下のような結果となった。

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スタートアップエコシステム国別ランキング(再掲)

 OpenAIやアンソロピック(Anthropic)などの生成AIトップスタートアップを擁する米国が国別総合スコア215ポイントで1位となり、2位の英国(56ポイント)に4倍近い差をつけた。

 このほかトップ10には、3位イスラエル(52ポイント)、4位カナダ(38ポイント)、5位シンガポール(37.7ポイント)、6位スウェーデン(27ポイント)、7位ドイツ(26ポイント)、8位フランス(25ポイント)、9位オランダ(24ポイント)、10位スイス(24ポイント)がランクインした。

 1~4位は強固なスタートアップエコシステムが構築されており、この数年順位は不動となっている。その中でシンガポールの躍進は注目に値する。2020年は16位とトップ10圏外だったシンガポールだが、2021年に10位、2022年に7位、2023年に6位、2024年に5位と、2020年以降11ランクもの上昇を達成しているのだ。現在38ポイントで4位につけるカナダに迫っており、2025年にはカナダを超える可能性もゼロではない。

 また、スイスが10位に返り咲いたことで、今年は欧州の国々がトップ10の6枠を占める結果となった。前年の5枠から1枠の増加となり、欧州のエコシステムの強さと多様性が反映された格好となる。しかし、EU諸国はまだグローバルトップ5にランクインできておらず、改善の余地が指摘されている。 【次ページ】日本はなんと「逆戻り」、縮まるアジアとの差
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